インフルエンザ治療といえばタミフル。
でも2000年代前半にタミフルを服用して異常行動を起こした子供の飛び降りによる死亡事故が起きてから10代へのタミフルの投与は中止されてました。
しかし2018年8月21日、厚生労働省は10代へのタミフル投与を認める通意を出しました。
果たして厚生労働省が言うタミフルと異常行動は無関係というのは本当なのでしょうか?
タミフルと異常行動に因果関係はないのか?
またタミフル以外の薬ではどうなのか?
インフルエンザの薬と異常行動の関係について徹底的に調査しました。
Contents
タミフルの異常行動が起きるのは子供だけ?
まずタミフルの服用は2007年から10代への投与が中止されていました。
つまりタミフルによる異常行動は10代の子供に多いと言われています。
異常行動にも種類がありますが「突然走り出す」、「飛び降り」については以下のようなデータになっていました。
(出典:インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究)
つまり、死につながる異常行動を起こす可能性があるのは小児~未成年に限られるということです。
ちなみに他の異常行動には「おびえ・恐慌状態」、「幻聴・幻覚が見える」、「わめく・泣き止まない」などがあります。
また異常行動が起きるタイミングについてですが、眠りから覚めてすぐに起こった人が86%。
つまり、朝起きていきなり飛び降りてしまうという危険があるということだ。
これは恐ろしいですね。
看病する側からしたら大変だと思います。
いつ目を覚ますかわからない子供を監視するために起きてなきゃいけないわけですから。
タミフルと異常行動は無関係だった!?
しかしつい最近、タミフルと異常行動は無関係であり、10代への処方が再開されました。
厚生労働省ホームページにあったQ&A
Q.15: タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも、異常行動(急に走り出す、ウロウロする等)は起きますか? 医薬品を服用しない場合にも異常行動が起きる可能性はありますか?
抗インフルエンザウイルス薬には、タミフルのほかにリレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出す等の異常行動の発生が認められています。
また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落する等の事故を防止するため医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも発症から2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮してください。
インフルエンザ罹患に伴う異常行動の研究については、厚生労働省ホームページの下記アドレスに掲載されています。○異常行動の例
- 突然立ち上がって部屋から出ようとする。
- 興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
- 興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。
- 自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
- 人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
- 変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
- 突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。
(引用元:インフルエンザQ&A 厚生労働省)[/su_box]
インフルエンザの薬と異常行動の関係
インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究によると、2015-2016年のインフルエンザ薬ごとの異常行動の件数は・・・
- タミフル:15件
- イナビル:21件
- リレンザ:7件
- アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬に用いられる成分):34件
- 薬なし:11件
これは・・・タミフルは関係なさそうですね。
っていうか薬一切飲まなくても異常行動があるとは・・・。
また一見一番安全そうな解熱鎮痛剤に用いられるアセトアミノフェンが一番多いです。
(出典:インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究)
タミフルの「あり」、「なし」・抗インフルエンザ薬の「あり」、「なし」で特に異常行動についての数字の有意な変化はないことがわかります。
また問題は10代の子供の飛び降りなどの死を伴う危険な異常行動についてですが、平成19年に厚生労働省がタミフルの10歳以上の未成年患者に対する使用を控えるよう注意喚起してからは一度も発生してません。
厚生労働省の言うタミフルと異常行動が無関係というのは正しいのか
ここまで厚生労働省のデータから判断するに、タミフルと異常行動の間に関連は見られませんでした。
厚生労働省のデータは2007年~2016年まで長期間分あるが、いずれのデータも関係がないことを示しています。
10年間厚生労働省がきちんとデータを取ってインフルエンザの子供へのタミフルの投与が関係ないことが証明されたのでさすがに信じてよさそうですね。
ただ、異常行動はタミフルに関係なく起こることはわかってるのでいずれにしてもインフルエンザにかかった子供に注意が必要なことに変わりありません。
インフルエンザにかかった子供の異常行動対策の方法
ではインフルエンザにかかった子供の異常行動はどう対策すればいいのでしょうか?
まず異常行動は薬と関係なくインフルエンザにかかった子供に一定の割合で起きるため、防ぎようがありません。
そのため、対策するのは万が一異常行動を起こした子供にどう対処するかということになります。
1. インフルエンザ発症後48時間は子供を1人にしない
異常行動はインフルエンザ発症から48時間以内に起きます。
そのため、インフルエンザを発症してから2日間は子供を1人にしないようにしましょう。
共働きの家庭でも親のどちらかは会社を休んで子供を看病してください。
2. 子供はできる限り1回で寝かせる
異常行動で一番怖いのは飛び降りによる死亡です。
それが起こらないようにするためには子供を1階で寝かせ、玄関や窓の鍵はすべて閉めましょう。
もし子供異常行動が起こしたら?
次に看病中に子供が異常行動を起こしたらどうすればいいのかについて。
まず異常行動の中にはインフルエンザ脳症の初期症状で急死する可能性もあるため、救急車を呼ぶべき場合があります。
厚生労働省のガイドラインによる救急車を呼ぶ判断基準
- 異常行動が連続的に続く、または1時間以上続く
- 意識障害が起きている
- けいれんがある
これらの症状が起きている場合はすぐに救急車を呼んでください。
異常行動に意識障害はなく、短期間のみの場合は経過観察でいいとされています。
異常行動は主に幻覚や幻聴があり、意味不明の言葉をしゃべったり、理由なくおびえたりします。
ひどい場合は突然叫んだり走り出したり、暴れたりします。
これが寝ている子供が起きた時に突然異常行動を起こすことがあるので怖いです。
看病する方は大変だと思いますが気を付けてください。
まとめ
以上、タミフルと異常行動の関係について解説してきました。
まとめると
- タミフルの異常行動は子供に多く、2007年から10代への投与が中止されていた
- 厚生労働省による10年間のデータでタミフルと異常行動は無関係であり、タミフル以外の薬や薬なしでも異常行動が起こることが証明され、10代への投与が再開された
- インフルエンザによる異常行動は薬の服用に関係なくすべての子供に起こる可能性があるので注意が必要
- インフルエンザ発症から2日間は子供を一人にせず、看病することが必要
ということでした。
子供がインフルエンザにかかると、薬に関係なく異常行動が起こる可能性があることがわかりました。
そのため、今まで以上に子供のインフルエンザには注意が必要だと思います。
看病する親は大変ですが、子供の命を守るためにも注意して見守りましょう。
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